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「よっ!前科者!」
翌日、普通に登校してきた小林くんたちを、ヤンキー仲間は嬉しそうに出迎えていた。
「前科者じゃねぇし」
平沼が、被害届を出すことはしなかったから、それは免れた。
本人の意志か、学校側の配慮から分からない。
教室に入って、
たまたま近くで、一希ちゃんたちと話をしていた私の制服を引っ張ってきた。
「なによ?前科者」
「お前まで言うか?
あれ………ほら、 杏は?」
「あ」
小林くんは、知らないんだ。
杏が救急車に運ばれたこと。
「おれ、平沼殴ろうとして杏をどついちゃったからさ……」
「……………」
私の顔見て、
まず それなんだね………
「また、倒れて病院に運ばれたよ」
「はっ!?なんで?貧血?」
「…………ごめん、あとは分からないんだ」
わたし、
小林くんのことしか、頭になかったから………
「……んだよ、おまえ?
警察署なんか来る前にまず、病院に行けよ!
友達じゃねーのかよ?」
「……………」
" ………友達"
「ちょっと、探りいれてこよ」
小林くんは、かなり伸びてしまった金髪を、いつものように立てたりしてなくて
洗ったばかりなのか、
そんな爽やかな香りを残して………
わたしの
寂しい気持ちも残して、
教室を出ていってしまった。
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