37人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
「杏って、いつまで入院すんの?」
ヤンキーで目立つ由美と崎谷と小林くんと前田さん、
そして、ひとり、地味な私で、病院まで歩いていく。
「かったりぃな、原チャリ乗っていきてー」
小林くんは、長めの金髪を邪魔そうに触りながら シャツをパタパタさせていた。
「原チャリ、盗んだの?」
私達は、15歳。
勿論バイクは乗ってはいけません。
「尾崎じゃあるめーし、
あ、久しぶり名曲ききてーな!」
____この頃は、
丁度、天才シンガーソングライターの尾崎さんが突然亡くなった後で
彼のファンじゃない子たちも
死を惜しむように有名な曲たちを口ずさんでいた。
「尾崎はバイク盗んだことないらしーよ?」
「俺だってねーよ」
病院までの道のり
私も崎谷たちの音痴な " 15のヨル "をニヤニヤ楽しむ。
途中、「そろそろニコチン」
とタバコをくわえだす崎谷とは違い、
小林くんは
タバコには見向きもしなくなっていた。
「小林くん、タバコやめたの?」
最初のコメントを投稿しよう!