40人が本棚に入れています
本棚に追加
「最近、杏と小林くん、休み時間も、いつも一緒にいない?」
クラスのあまり仲良くない女の子が、
廊下で楽しそうに笑っている2人を見て
何やらヒソヒソ言っている。
職員室から戻ってきた私は、
聞こえないふりをして
席で模試対策の本を開いて読み始める。
………だけど
「陽子の彼氏、杏を好きになったからって、陽子を振っちゃったんだってよ!」
「マジで?馬鹿な奴だね、でも陽子可哀想……」
受験生とはいえ、思春期真っ只中……、
色恋うわさは絶えない。
「杏、顔見ただけで気分悪くなるの私だけ?
てっきり前田たちがシメるかと思ったのにさぁ」
ヤンキーではなく
ちょっと強目の生徒は、
杏がヤンキーくんたちと仲いいのも気に入らないようだ。
「一回、呼ばなきゃだろ?」
「………………」
できたら、
関わりたくないチョイ悪たちの企み。
私は
参考書の文字なんか頭に入らずに、
女の"妬み"の言葉の縦列ばかりがスンナリ耳に入ってきて、
学校での自学を諦めた。
「今日の三者面談は、
相田、大島、小林」
最初のコメントを投稿しよう!