あやとり

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「最近、杏と小林くん、休み時間も、いつも一緒にいない?」 クラスのあまり仲良くない女の子が、 廊下で楽しそうに笑っている2人を見て 何やらヒソヒソ言っている。 職員室から戻ってきた私は、 聞こえないふりをして 席で模試対策の本を開いて読み始める。 ………だけど 「陽子の彼氏、杏を好きになったからって、陽子を振っちゃったんだってよ!」 「マジで?馬鹿な奴だね、でも陽子可哀想……」 受験生とはいえ、思春期真っ只中……、 色恋うわさは絶えない。 「杏、顔見ただけで気分悪くなるの私だけ? てっきり前田たちがシメるかと思ったのにさぁ」 ヤンキーではなく ちょっと強目の生徒は、 杏がヤンキーくんたちと仲いいのも気に入らないようだ。 「一回、呼ばなきゃだろ?」 「………………」 できたら、 関わりたくないチョイ悪たちの企み。 私は 参考書の文字なんか頭に入らずに、 女の"妬み"の言葉の縦列ばかりがスンナリ耳に入ってきて、 学校での自学を諦めた。 「今日の三者面談は、 相田、大島、小林」
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