あやとり

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小林くんの治療中に、 再び私達の元に戻ってきた祐紀さんは、 付き添った直也以外の人間を車に乗せて、 「杏ちゃんは、どこが悪いの?」 先に送る彼女に、身体の事を聞いていた。 記憶障害から、心療を勧めた祐紀さんは、 杏の心に問題があると思っている。 「特に問題ないそうです。」 「いつも思うけど、日本語達者だな、日本語いっぱい勉強した?」 「お父さんが家で英語と日本語半々でした。」 「杏ちゃん、ずっと、日本にいるんだよな?」 祐紀さんの隣に座った崎谷が口を挟んでいる。 「そのつもりでいます」 「………………」 ………私は なんて、 嫌な女なんだろう……? 杏が、アメリカに帰ってしまうことを、 心のどこかで期待している。 夕方6時のサイレンが、公営の住宅地に響き渡るころ、 祐紀さんの車は私の住む団地に着いた。 「また、病院戻るんですよね?」
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