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小林くんが一緒ではない杏の帰りを、
まるで待ち伏せするかのようにして、
下駄箱付近で同級生男子が話しかけている。
「小林とつき合ってんの?」
「あいつ、高校行けないし、別れちゃえば?」
そんな声が聞こえて、
小林くんが気の毒になった。
「亜子、一緒に帰りましょう」
そんな男子のアプローチから逃げるように、
杏は私の後をくっついて校舎を出てくる。
「杏ちゃーん!」
それでもワハハ笑いながら、
杏の逃げる様子を喜ぶ男子たち。
「………もういやだ」
杏の
顔色が悪かった。
「大丈夫?夏バテ?貧血?」
倒れ込む杏を見ても、
声ひとつかけない女子の通り過ぎる足を見ながら、
わたしは、
不本意だけど
学校に唯一居る、男性教諭の平沼先生を呼んだ。
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