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「あのさ」
食べ終わってゴミ箱にカスを捨てる小林くんの繊細な背中に話し掛ける。
「ん?」
「" 一美 "さんってどんな人だったの?」
祐紀さんが、私なんかに優しい理由は何となく分かった。
女として見てるようで見てないことも、
ホテルの一件で察知できたつもり。
「………祐紀にいの、元彼女ね、俺もあんまりよく知らないんだよ。
祐紀にいの過去が気になりだした?」
小林くんは、自販機からブラックコーヒーと砂糖入りの缶コーヒーを買って渡してくれた。
「私、どっちでもいいよ」
「じゃ、焼き肉食って臭いわけじゃないから、甘い方飲めよ」
急に祐紀さんの過去が気になりだした、
………というわけでもない。
「小林くんは、甘いもの嫌いなの?」
「そんなことないよ、ちょっとダイエット」
甘い缶コーヒーを受け取りながら笑ってしまった。
「一美さんは、よく知らないけど、
多分、そんな風に
笑った顔が可愛かったような気がするよ。」
小林くんの
甘い言葉に、
「…………」
笑うことができなくなった。
「なんで、亡くなったの?」
祐紀さんの悲しい恋の終わりから
「族の闘争に巻き込まれて
死んじゃったら しいよ」
笑って
目を背けることが できなくなった。
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