35人が本棚に入れています
本棚に追加
「闘争とかあったの?」
公園で遊ぶ子どもたちと、それを見守る母親たち。
犬を散歩させるおじいさん。
こんな、のどかな平和な田舎町にそんな激しい出来事があったなんて信じられない。
「………だから、
暴走族って無くなったのかな」
私は
喉が詰まったような気がして、甘いコーヒーを飲めなくなっていた。
「………一昔前は、族もチームも勢いあったからなぁ……俺もそんな映画ばっか見てたし。」
「………ただ、走るだけじゃダメなのかな」
いつだったか、
前田さんのお兄さんの友達の野口くんのバイクに乗せてもらったとき、
確かに気持ちよかった。
普通に道を走るだけでも充分楽しめるはずなのに
関係ない人を巻き込んで危ない走りをするなんて
怖がりの私には理解できない。
「祐紀さんは、優しいから大丈夫だよ。」
小林くんは、隣に座る私の頭を軽くツツいた。
「………うん」
それは、
私も分かってるんだよ。
「杏、祭りまでに体調良くなるかな?」
祐紀さんと同じくらい、
あなたが優しい人だって事も
「………アメリカ一時帰国する前に思い出作りたいよね……」
分かってるから、
私は
祐紀さんに気持ちを100%
向けられないんだよ。
最初のコメントを投稿しよう!