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「私が、祐紀さんの赤ちゃんを授かったら、どうしますか?」
思わず、唐突な質問をしてしまった。
私が飲まずにいた缶コーヒーを先に口にしていた祐紀さんは、
吹き出しそうになっている。
「それ…………誘ってんの?」
キスしかしたことない相手に、
そんな質問してしまったら
「た、たとえばの話ですよっ?」
「……我慢してる俺に何て質問するんだよ?」
いつか、そうなることを当然だと思ってるみたいで、
何だか軽い女になった気分。
「亜子ちゃんと、そんな仲になってみないと、愛情の深さが違うから分からないな」
「………………」
祐紀さんは、
綺麗な女のひとと、ホテルに入っていた。
それを私が見たことは、きっと知らない。
大事にされているけど、
深い愛情はないと、
そう言われた私は
また、軽はずみな質問をしてしまう。
「じゃ、最愛の恋人だった一美さんが
由美と同じように妊娠していたら
どうしましたか?」
17才で、亡くなった祐紀さんの
大好きだったひと。
私は、
すこしだけ、
似ているらしい。
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