18人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………一美のこと、知ってたんだね。」
祐紀さんは、声のトーンを更に低く落として、持っていたコーヒーを、ドリンクホルダーに静かに置いた。
「俺は、
一美が″ 産みたい ″って言っていたら
多分、死に物狂いで働いてた。」
「…………」
バブル崩壊が間近だったこのご時世も、
中卒の少年が、ちゃんとした仕事に就けるか否かは、意気込みだけでは、かなり難しい事は
中学生の私にだって分かっていた。
「だけど、
直也には、それは無理だ」
____それでも
一美さんを思ったように、
祐紀さんや直也に、
由美の気持ちと、体を大切に思っていてほしかったの。
最初のコメントを投稿しよう!