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「直也には、それは無理だ」
兄として、
弟の事をわかっているからなのか、
それとも、
やっぱり他人の由美の事よりも、身内の直也の将来が心配だからなのか
「………どうしてそんな断言できるの?…」
男のエゴが強い人なのか、と
私の中に祐紀さんへの印象が変わりそうな時だった。
「俺は、由美にだって幸せになってほしいと思ってるよ。」
「だったら!…………」
「だから、直也を一生のツレに決めるのは早いってこと!」
初めて、私にイラつく祐紀さんの顔を見てしまった。
「………あんなに、仲のいい二人なのに?」
まだ、″ 男性 ″ を未経験の私。
身体の関係を持つって、凄く特別な相手と、ずっと、一生にいたいって、そんな感情が芽生えるものだと、
「気持ちだけじゃ生活はできないよ」
理想像が頭のなかに住み着いていた。
「………………」
祐紀さんができて、
直也には出来ない″ 死に物狂いで働く ″
____二人の違いは?
「…………そんな軽蔑した目で見るなよ」
初めて見る、祐紀さんの冷たい瞳………………
「早馬には言わないから」
「え」
祐紀さんの中に、
抱えきれないほどの葛藤や苦悩があるこ
と
「口止め料」
外からは見えない彼の車のフルスモークの窓のように、
「大丈夫、
ガキできるようなことはしない。」
何となく感じてしまったのに、
それが何か
私には見えてはいなくて、
助手席のシートが倒されて、
生まれて初めて、
男性の、固い重みを、全体で感じてしまった…………____
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