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夏休み明け、9月1日____
「小林の頭見たぁ?」
朝から教室が騒がしい。
「みたみた!真っ黒だった」
…………小林くん、来てたんだ。
「内申書対策?遅いだろ」
皆に冷やかされながら、教室に入ってきた小林くんは、
真っ黒な髪でとても短くなっていて別人みたいだった。
「母ちゃんにやられた。」
少し恥ずかしそうに笑って、ますます可愛くなった。
そう感じたのは私だけじゃなかったようで、
「黒髪だと、引き締まって見えて、私は好きだな」
クラスの女子の評判は、なかなか良かった。
「小林、黒髪だとアランドロンみたいじゃないか」
教室に入ってきた担任が、彼の変貌にすぐ気付いた。
「誰だよ?それ」
ますます顔を赤くして、
今日の小林くんはまるで新入生みたい。
「昔、超人気あった有名な俳優だ、゛太陽がいっぱい゛って映画があったんだが…………」
「光ゲンジかよ」
和やかな教室、
つい
重たい現実を忘れそうになる。
「由美って、妊娠してるんでしょ?」
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