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やっぱりだけど、由美と直也は登校していなくて、
本人達がいないため、みんな堂々と噂している。
「産婦人科に二人で行くとこみたもん。」
「いつ?下ろしにいったの?それとも検診?」
「産むわけないじゃん、私ら中学生たよ?」
「直也って、卒業できるかもわかんないしな、休み過ぎだし」
「万年中学生はパパ無理っしよ」
ガン!!
皆が笑っているところに、
小林くんが、乱暴に隣の机を蹴りながら
教室に戻った来た。
「…………人の心配するときは、笑うなよ」
ただ、
その様子を黙って聞いていただけの私と、彼の目が合う。
「塾」
「え?」
てっきり、冷たい女だと嫌味言われるかと思ったのに、
小林くんは、微笑んで近寄ってきた。
「大島の行ってる塾 教えて」
周りにいたクラスメートは、唖然としている。
「母ちゃんと父ちゃんと約束したらしいんだ。」
「約束?」
小林くんは、私の制服の裾をひっぱって、窓際の一番後ろに引き寄せた。
「俺が高校受かったら、こっちに母ちゃんと残る、
だめだったら、
父ちゃんと福岡で暮らす。」
小林くんもまた、
大きな分かれ道に立たされていた。
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