deep love-2

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祐紀さん……… 私も、もしかしたらいないかと、期待してはいたけど。 「……出所してから、何年も経つのに 被害者の男性が、まだ後遺症で苦しんでるのもあって、 祐紀さんは、おめでたい席や目立つ席には出ないんだってさ。 広人には何回も会ってるんだけどネ」 由美は車のなかで、あくびをして、 早口で親戚になる祐紀さんの話をした。 「おじさんも俺好きだ。 仕事も早馬さんと同じように自営業で頑張ってるし。」 広人くんは、運転する小林くんの肩を見ながら、 ううん、 もっと前を見ているような瞳で、少年らしいキラキラした輝きを放っている。 ……わたしにも、 こんなときがあったのかな? 「祐紀さんは、どんな仕事を?」 まさか、 ローン会社じゃないよね? 「インターネットで、車やバイクを販売してるらしいよ」 小林くんが答えてくれた。 「祐紀さんには、幸せになってほしいよ」 「………………」 いろいろあったよね。 懐かしめるほど、 つらくて、苦くて それでも、私をドキドキさせてくれた人。 小林くんにも、祐紀さんにも、幸せになってほしいよ。 もちろん、由美親子、前田さんや崎 谷にも。 「じゃ、早馬ありがとうネ!長崎に帰ってきたらまた、連絡ちょうだいよ」 昔と変わらず実家に住む由美たちは、 私と小林くんに手を振って帰宅していった。 「前に、座れば?」
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