交差点

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「うちの病院、救急ではないけど、どうしたの?」 電話の小林君の声が焦っているように聞こえた。 「従業員の若いのが盲腸かもしれなくて」 「……わかった、先生に聞いてみる」 私は外来の医師に連絡をいれ、受け入れOKの確認をとり、 すぐさま、小林君とその病人がうちの病院を訪れることになった。 「大島さん、花坂さん病室、入院準備できたそうです」 知り合いの外来まで様子を見る暇などないまま、中学生の心臓病患者と初対面。 「暫くお世話になります」 「看護師の大島です。何かあったら、コールすぐ押してね」 挨拶も早々、 「お母さん、先生くる?」 勉強熱心な環ちゃんは、母親に家庭教師の来院を確認していた。 「夕方には、こられるわよ。 ここ、面接時間、夜9時迄でしたっけ?」 「ええ、そうです。夕飯後の検温が終わるのが7時ですから、あまり時間ないですけど……」 品のある親子、学校は、私立の女子中学校らしかった。 「はやく、杏先生、来ないかな」 環ちゃんの言葉に、 病室を出ていこうとした、わたしの足が止まる。 _____″杏″…………?
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