小林くんの愛 亜子の愛

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「やっぱり、ドンキーのほうが良かった?」 駅から車を三十分走らせて、 国道沿いの洋食屋さんに入り、 私と祐紀さんはそこの窓際の席についた。 「…どうして?そんなことないよ」 「ならいいよ けど、何か、無口になったから」 祐紀さんは、メニューを広げると 「これ、うまいよ」 とトルコライスを指した。 「写真見ると、けっこうガッツリな量ですね、食べられるかな?」 あんまり、食欲もない。 「女が好きなシーザーサラダもついてくるぞ」 祐紀さんはさりげなく言ったけど、 「…………そういえば、 祐紀さんて彼女はいないの?」 昔と変わらず、爽やかでモテそうな雰囲気は、 いかにも彼女がいそうだから、 聞いてみたくなった。 私の質問に、 祐紀さんは、表情変えることもなく 窓の外の通行人を見ながら呟くように返事をする。 「俺が女と付き合う資格なんかないよ」
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