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「まだ、この病院にいたんだ?」
再会の第一声の言葉の意味がよくわからない。
「…………うん、仕事場はここだけだよ?」
卒業以来、顔さえ見ていないのに、私の勤め先なんか知ってるはずない。
「……一希ちゃん、お見舞い?」
なんだか、やはり、昔のわだかまりは消えてはいないんだと落胆が消せない私は、いつもより声が小さくなる。
「うん、外科に彼氏が入院してるし、
それに、ここ、今のところ親戚の病院にあたるんだよね」
「彼氏?親戚?」
まさか……婦長がいってた、チンピラ風の患者さん?
「わかんないの?
私の姉が、ここの跡取り医師と結婚してたんだよ」
更に冷たい表情になった一希ちゃんは、
私の肩をがっつり掴む。
「亜子が不倫してた出方先生は、
私の義兄だよ」
「え…………」
____悪いことをしたら、
必ず罰が待っているのかな…………
一希ちゃんとの再会が、
私の幸せを 静かに壊し始める____
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