friend

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「早馬、来月籍入れるらしいよ」 小林くんと杏の結婚を崎谷から聞いたのは、その年の秋だった。 「そっか……式は?」 前田さんの妊娠が後期に入った頃。 「なんか、挙げないらしい」 妊娠性の貧血がひどくて、起きられない彼女の見舞いに訪れた日のこと。 「どうして?小林君、二回目だから?」 「うん、別れても子供もいるし、杏の体調もよくないらしい」 「………………」 崎谷は、私が買ってきた餃子を食べながらビールを飲んでいる。 「だから、体調がいいときに式場で、写真だけ撮ったらしい、そのうち″ 結婚しました ″って葉書が送ってくるんじゃね?」 …………小林くん、 きっと、今も不安だろうな。 「杏のウェンディング姿見たかったなぁ、絶対キレイだったよね」 リビングのソファーで休んでいた前田さんは、ゆっくり起き上がると 崎谷の皿から餃子をひとつ摘まんで、パクっ!と食べた。 「てめ、俺のだぞ!」 「元々亜子は、私に買ってきたの!あんたは私が具合悪くても、なんにも作ってくれないでしょ??」 「チキンラーメンなら作ったぞ」 「あれは塩分高いの!血圧あがるわ」 相変わらず、キョウダイ喧嘩のよう なやり取りをする二人。 「まだあるから、ほら…」 昔、直也が、前田さんと別れて由美を選んだことも、 何かしら意味があったのかもしれない。 人の縁ってわからない。 「しかし、早馬も私らだけでも呼んでなんか祝い事すりゃいいのに」 「今さら、御披露目ってことも必要ないし、それは、俺らがやることじゃね?」 小林くんと杏の結婚祝い。 今の私ならできるかな? 「亜子は、どうなの?祐紀さんと結婚しないの?」
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