friend

3/23
前へ
/23ページ
次へ
「祐紀さんとは、結婚しないの?」 前田さんが、そう聞いてきたのは わたしの胸に、あのリングが復活したからだ。 「うん、そんな話はないよ。」 祐紀さんの抱える保障問題は、 二人の未来に多少なりとも影を落としている。 「そっか……でも、それ、 もう指にはめてあげなよ」 中学生の私にはもったいなくて、指にはできなかったプラチナリング。 「亜子にとっては、やっぱり、白馬の王子は、祐紀さんだったんだね。」 「……………………」 そうなのかな? いまいちピンとは来ないけど、 だけど 今私は とても穏やかで幸せな毎日を過ごしている。 「お、そーいや、俺、二次会で【hanano】って店行ってきたぞ」 崎谷が、 また記憶から消えそうだった、一希ちゃんの話をするまでは、 「……一希ちゃんに会った?」 「おう、接客された」 その幸せは、 ずっと続くと思っていた。 「元気そうだった?」 「んー、なんか、やばかったぞ」 「え?」 幸せな時ほど、 他人の不幸には、 気付きにくいもの____
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加