yuuki-2

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「…………看護師は、家政婦とは違います、ご家族はいらっしゃらないの?」 「俺は、こんな ド田舎の出身者じゃねーから、家族は見舞いに来ねーよ」 男が投げた下着をつまんで、そっとベッドに戻し置いた。 「…………東京か、どちらか?」 この人が都会人だろーが、まったく興味がない。 「福岡の人間だよ」 …………おんなじ九州人じゃんか。 「出先でケガなんかついてないですね。それじゃあ、……」 【浦 まこと】 ベッド頭部分の、ネームプレートを見て このチンピラの名前を確認する。 「浦さん、朝食後に先生が来ますからね」 「だから、あんた、何歳?名前は?」 …………しつこい。 再び立ち止まり、自分の名前のプレートを目の前にかざしてやる。 「看護師の大島です、28歳。 御用があるときは、ナースコール押してくださいね」 「………結構、ばばぁだな、さっきから、言おう言おうとしてたのは、 鎖骨んとこ、ほら、あれ、ついてるよ!」 「え」 浦という男が、にやにやして自分の同じところを触っている。 「キスマークでしょ?」 「!」 うそ? そんなはずはない、と、思いながらも顔が赤くなる始 末。 「大島さん、男いるんだね?」 「………………」 返事もせずに、 その失礼な患者の部屋をあわてて出ていった。 ″もう、関わりたくない″
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