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患者さんに関わりたくないなんて、
医療現場の人間として、思ってはいけないこと。
…………わかってはいるのに。
反省はしつつも、
「大島さん、午後からも、外科の方回ってもらっていい?」
「…………はい」
男性の不躾な態度には、やっぱり、不快感が強く出てしまう。
「大島先輩!あの浦さんって金と女には汚いって評判だから、気を付けてくださいね」
後輩の看護師が心配してくれる。
「じゃ、白野ちゃん、午後からの患者さんの入浴手伝いやってくれない?」
お風呂に入れない患者さんの容態次第で、合わせて体をタオルで拭いたり、
頭を洗ってあげたりする。
だいたいそれは、新人看護師の仕事だったりするのだが、
職場不倫した私を解雇しないほど、
この病院は人手不足。
「スミマセン。私、午後から産科の方の手伝いなんですよー」
「…………そう」
できたら、私も妊婦さんや新生児の仕事をしたかった。
仕方なくもう一人の若い准看護婦と病室を回る。
「背中、拭いてくれんの?28才独身の大島さん」
やっぱり、この浦さんは、苦手だ。
「いえ、こちらの子がしますよ」
「…へえ、…若い子もいるんだね」
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