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「あの浦さんって、あちこちに女がいるらしいんです」
「……そんな感じよね」
その階の使用済みタオルを洗濯物入れにまとめながら
先程の失礼な患者の事を、知ってる限り私に教え込む後輩たち。
「長崎にもその彼女の一人に貢がせるために帰った来てたみたい」
「最低だね……」
「その彼女が、結構可愛いんですよね。毎日来るんですけど」
「……毎日?」
「はい、ほぼ。そして、女が金を置いて洗濯物を持って帰るらしくて」
「ジゴロってやつね」
「私は、彼女が病室であっちの方も尽くしてるとこ見ちゃったよ」
「はぁ!?病室でっ?」
「だから個室にしてるみたい」
………なんか、ますます苦手になりそうな患者……
「あ、彼女、やって来ましたよ」
ナースステーションから、後輩が、廊下に響くヒール音の主の姿をとらえて
その痛い彼女の事を私に教えてくれた。
「…………あのひと?」
「そう!シャネルのバッグ持ってるひと」
廊下を歩く、その痛い彼女の横顔に、
思わず息を飲む____
それは、
「先輩、……どうしました?」
あの、一希ちゃんだったから………
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