yuuki-2

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ナースステーションからの私の視線に気づいた一希ちゃんは、 ちょっと微笑んで、私を手招きした。 ″あ………れ″ この間は、突き放されたような感じだっただけに、 意外なその態度に私は、久しぶりに飼い主に可愛がって貰える犬のように そそくさと彼女のそばへ寄っていった。 「この間、崎谷君と、亜子の彼氏に会ったよ」 「……………あぁ」 やっぱり、 出会ってしまっていたんだ。 「″ 祐紀 ″さんて、かっこいいし、優しい人だね」 「…………うん」 「あの、病気で死んじゃった直也くんのお兄さんなんでしょ?」 「…………………………」 一希ちゃんの微笑みは、 「亜子って、つくづくあいつらと腐れ縁があるのね」 ″ 浦さん ″の 何か別の笑いを含んだ、人を小バカにしたような表情と、同じものを私に見せている。 「………………うん、 運命なのかもしれない」 「………………へぇ、じゃ、 やっぱり、義兄さんとは、ほんとに遊びだったんだね」 別れと再会を繰り返して、 そこにあるものは、 本物の恋______ 「…………出方先生には、お世話になったけど、 生涯を共にするような関係ではなかったから」 不倫を肯定するつもりはない。 「……人んちの家庭壊しといて、なぁに寝言いってんのよ?あんたも義兄さんも最低じゃん」 「…………ごめん」 謝ってすむ事ではないけれど、 「あんたより、絶対幸せになってやるから」 昔のように、 未来や恋の話をできる関係に戻りたいと 「………………うん、なってほしいよ」 そう、願ってしまうのは 身勝手過ぎるのかな? 「やっぱり、亜子は偽善者ぶってて見てるだけでイラつく」 一希ちゃんは、 軽く舌打ちして、 着替え等が入っているらしい紙袋を抱えて、浦さんのいる病室へ入っていった。 ………………あの男は きっと、 一希ちゃんを幸せにできる人じゃない。 そんな直感が、 自分の罪悪感を大きくしていく。
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