yuuki-2

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「なんか、緊張するな」 平日の夕方。裕紀さんが挨拶のために団地の私の実家を訪れる。 「スーツ姿、こんなに似合うなんて思わなかった」 「馬子にも衣装だろ?」 笑顔ではいるけれども、 居間に通され、カチカチになってしまい、険しい顔をしたお母さんが出したお茶をやっと一口飲んだ彼は、 「あなたは、どうしてその年までお一人だったの?」 という直球クエスチョンに、お茶を吹きそうになっていた。 お父さんが帰宅する前からこの調子じゃ、この人もたないな。 ちょっと心配になる。 「俺、モテませんからね」 「その容姿なら、もてたはずよ、 何か問題でも抱えていたんじゃないの?」 昔から、見た目や素行で人を判断しがちだったお母さん。 小林くんのことも毛嫌いしていたっけ……。 「……結婚できない理由は、ありました」 バタン! 裕紀さんが、大事な話を切り出したと同時に、 お父さんが仕事から帰宅して、玄関が開閉する音が部屋中に響く。 「こんにちは。」 お父さんと、裕紀さんが同時に声を発して、 彼がスッと立つから、 私もあわてて立ち上がって、お父さんの方を見る。 「そんなかしこまらなくていい」 どうやら、お父さんの方が、 ちょっと緊張しているように思える。 「すまないが、君のこと、ちょっと調べさせてもらったよ」
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