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「一緒に住もうよ」
小林くんは、
驚いて立ち止まる私のかごを取り、
自分の欲しいものと一緒に精算する。
「ま、まって!」
「気にすんなよ、なんだよ?このメロンパン、朝飯にする気じゃねぇだろな?」
「ちがう」
そうじゃなくて、
「おやつ?」
「そうじゃなくて、同棲って、仕事通うの大変じゃない?!」
福岡と佐賀は近いようで、
通勤にはかなり遠い。
「メロンパン、歯に詰まるから苦手なんだよな。
……今すぐじゃなくてもいい、
俺は、長崎に拠点移すつもりだから、
いつか、亜子も長崎に戻るつもりなら
その時までは俺は長い通勤も苦にならない」
「ありがとうございましたー」
精算が済んだ商品を受け取り、
小林くんは、まだ、ちゃんと返事が出来ない私の手を取った。
「それに、現場は福岡、佐賀、長崎、他方にあるから
俺はどこが都合がいいってのはないんだよ」
仕事の順調ぶりをうかがわせながら
私の躊躇う顔を覗き見る。
「遠回りしたぶん、
一緒にいたいんだ」
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