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「…………何、この匂い」
小林くんを泊めた朝、
二階から降りてきて、すぐに彼が発した第一声。
「味噌汁だよ」
「メロンパンに味噌汁?!合わなくねぇ!?」
メロンパンが苦手だと言うので、
「バカ、ちゃんとご飯炊いたわよ」
「マジで?てか、飲んだあとの味噌汁って最高」
珍しく、朝御飯を作った。
一人だと、なかなか作らないから。
「今日、現場どこ?」
ストックに有った、乾燥ワカメとジャガイモの味噌汁。
おかずは卵焼き位しかないけど、
小林くんは、ご飯をおかわりしている。
「今日は、鳥栖だよ、しばらくはそこ。」
「現場、見てみたいな」
「オレが作業するわけじゃないよ」
「……うん、それでも」
「………今度、ここ、白蟻駆除しようか?」
「私の家じゃないから、いい。」
「もう、白蟻以前に震度2で崩れ落ちそうだもんな」
法面工事と、白蟻駆除の仕事。
景気の影響をもろに受ける仕事だし、なにせ、まだ若いから
一人では抱え込むものが大きいんじゃないのかな?
「亜子は、どんな家に住みたい?」
「えっ」
小林くんは、食べたお茶碗類を、流し台のところへ運んでくれる。
そんなところも、
祐紀さんと同じだから、
「家……あんまりこだわらないよ、もう見つけちゃうの?」
比べたり、
今を残念がることもなくて、
私には理想の相手なのかもしれない。
「ここは、広すぎるからさ」
「…………そう?」
ううん、
私には勿体ないくらいの小林くんは、
「広すぎて、くっつく機会減りそうじゃん。
六畳一間がちょうどいいよ」
また、
台所で、私にキスをする。
「出勤まで、あとどのくらい?」
こんな差し込む朝日が眩しい台所で
私のパジャマの中に手を入れてくる。
「これ、生理現象からくる行為?」
「失礼なこというなよ。
亜子が愛しいから、する行為だろ」
小林くんは、
仕事前の戯れが、
好きみたい。
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