最大の敵

3/19
前へ
/19ページ
次へ
小林君が、佐賀に足を運んでくれるようになって、半年程経った頃、 崎谷夫妻が私の職場近くまで訪れた。 「早馬が、亜子とのこと嬉しそうに話すからさ!どうしても会いたくなっちゃって」 崎谷の親戚の法事が、こちらであったらしく 青翔君も一緒だった。 「………小林君には心配ばかりかけちゃって。 青翔くん、おっきくなったね」 祐紀さんが 亡くなった年に生まれた男の子。 「俺らだって、心配してたんだぞ? それなりにさ」 崎谷は、病院のロビーで、 若くて可愛い妊婦さんを目でおっていた。 相変わらずの女好きっぷりに、 呆れを通り越して尊敬すらしてしまいそうだ。 「由美と、広人君は元気?」 今から、夜勤に入る私、 話したい事はあるけれど、余り時間がなかった。 「元気だよ!広人くん、すっかりもう″男 ″でさぁ、直也と祐紀さん譲りのシャープな顔立ちで、益々 モテ男になってるらしいよ」 「………そっかあ」 『祐紀おじさんを、よろしくお願いします』 そんな風に言ってくれた男の子。 もう、18歳くらいになったのかな? 時が経つのは早い。 私と小林君たちが仲良くなった15歳の年齢を、 そ   の子供がとっくに通り越して大人になっている。 「早馬と、 結婚したら?」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加