最大の敵

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直也の忘れ形見の広人くんは、 今、進路の事で とても悩んでいるらしい。 「由美は、進学を希望して、 本人は就職を希望して、よく喧嘩してるらしいんだ」 「母子家庭で大学は大変なんじゃないの?」 「それがさ、 由美には、今、生活支えてくれる男がいるらしくって」 「………そうなんだ」 「だから、余計に反発してるのかもしれないよ」 まるで、 自分の、 弟のように、 息子のように 広人君を見守ってきた周囲の大人たち。 「進路相談もかねて、あいつを激励してやろうぜ。」 そんな広人くんは、小林君を尊敬していると言っていた。 「小林君、仕事は、順調?」 メールから電話に変更して、生の声を聞いて安心する。 「うん、今俺、白蟻駆除の仕事もしてるからさ。そっちが忙しくて」 小林君が元気だと、 みんなが元気になれる気がするんだよね。 「小林くんは、誇りだよ」 「はぁ?!なんだよ、急に?」 「広人君も、小林くんみたいになりたいんだよ」 離れて、会えない間も、 心のどこかで、小林くんが頑張ってると思えば、 それだけで元気になったし、 「……俺みたいになったら、由美が心配するよ 」   また、必ず会えるような、 けして 離れているという気持ちにはならなかった。 「地元でまた、バーベキューしたいね」 それは、 「トウモロコシくいてぇな」 中学卒業してから今も ずっとそうだったよ。
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