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「待て、外に出ても」
俺がそう叫ぶがもう既に数人の姿が消えている。そして、彼らの足音が叫び声にかき消された。
そして、開け放たれた扉から、ぎらついた目をした男女が顔を覗かせる。
俺は近くにあったイスを後方のドアに向かって投げつける。
彼らはイスをよけるために身を引き、イスは廊下に転がった。
同じクラスの宮間がドアを閉め、鍵をかけた。
ドアを叩く音が響くが、間一髪間に合ったようだ。
再び叫び声が教室内で響き、教室の隅にいた元原藍子がうずくまって倒れている。彼女の近くにはどろっとした血が広がり、もう生きていないのが一目でわかる。
彼女の傍に倒れ込んでいるのは、田畑弘道という、このクラスの担任の先生だ。彼は体格のよい体を身動き一つせず、その場にうずくまっている。この担任がクラス内の被害者の第一号だったのだ。
このクラスのと限定するのは、少なくともこの学校では似たようなことが起こっていると分かっていたからだ。
「木村をどうにかするしかないよ」
宮間は俺の近くに来ると、そうささやいた。
「でも、どうしたらいいんだよ」
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