いざ、尋常に入籍

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「すみれさん」 昼休憩にやってきた私を見て、 カウンターの中にいた 天川さんがぱあっと表情を 明るくする。 彼はお店を入ったところで 立ち尽くす私を手招きし、 たったひとつ空いていた カウンター席に呼び寄せた。 「今日はドーナツ 入れてるんですけど、 食べますか?」 「ドーナツ?」 「ええ、僕の提案で 新規メニューとして 検討してるところなんです。 ありがたいことに、 うちは女性のお客様も多いので、 ちょっとしたマーケティングですね」 やたらにこにこしている 天川さんはあからさまに上機嫌だ。 言いながら彼は手元で カップを用意していく。 私が紅茶を注文すること、 訊かなくても判っているみたい。 .
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