271人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
……もう少し私の様子を
気にして欲しい、
なんて思ってしまう。
何も未練がましくして欲しい、
なんて思ってない。
私と韮沢に結婚だ何だの
話が出る前に、
あんな最低なやつだと
判ってよかったと思う。
だけど、
頭でそう理解できるほど
心は言うことをきかない。
仕事をしながら、
私は周りに気付かれないよう、
いつでも韮沢の気配を探していた。
だけどその癖を、
急にやめろと言われたって
うまくいかない。
未練なのは私の方だって、
判っている。
身体の中がじわじわと
歪んでいくような違和感は
どのくらい耐えたら
なくなるんだろうって──
そんなことを考えたら、
泣きそうに苦しくなったんだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!