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当然のようにそれを
天川さんに話しに
来てしまった自分を、
カウンターに着いてから恥じた。
いくらそのうち
離婚するからって、
結婚するからって──
どう考えても甘え過ぎだ。
“──すみれさんのこと、
好きだからですよ。
前から、ずっと”
天川さんのあの言葉に、
私は何も返事をしていない。
ただ、韮沢の鼻を
明かせるかも知れないと思ったら、
もう選択の余地がなかった。
天川さんの“好き”が
あまりに普通に放たれたから、
どこまでの気持ちなのかも判らなかったし。
普段からの態度で、
天川さんに嫌われてないことくらいは
判ってたけど。
だからって好かれているとか──
ましてや愛されているのかなんて、
考えたこともない。
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