いざ、尋常に入籍

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「戸籍謄本、戸籍抄本…… うん、書類に不備はありません。 身分証の類も、大丈夫ですか?」 閉店後の“オンブル”の カウンターで、 私が差し出した書類を 眺めながら 天川さんが事務的に訊いてきた。 「あ、うん。免許証持ってる……」 「じゃあ、行きますか?」 穏やかに微笑む天川さんは、 ラフな私服姿のせいか いつもより少し若く見える。 ギャルソン服ではない 天川さんのこの姿を、 私は未だに見慣れない。 どういう態度を 取ったらいいのか判らなくて、 とっさの対応にはどぎまぎしてしまう。 「すみれさん?」 「あ、えっ。うん。はい」 とてつもなく 曖昧な返事をしてしまい、 天川さんと思いきり目が合った。 .
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