いざ、尋常に入籍

4/33
前へ
/33ページ
次へ
  それは本音らしく、 何だか少し悲しそうだ。 「はあ……」 「なので、親だけでなく 経営陣にもせっつかれるんです。 早く結婚してくれと。 古い考えだと思うので、 俺は賛同しかねるんですが」 今気付いたけど、 天川さん“俺”って言ってる……。 敬語だけど、たぶん素だ。 「え、じゃあ……」 「一度でも結婚してしまえば、 周囲も納得してくれると思って」 「……えっと、 だからってどうして私?」 「鼻を明かしたくないですか。 ……別れた男性の」 「……」 一瞬何を言われたのか判らなくて、 テーブルに視線を落とした。 私が他の人と結婚したら── 韮沢は一体、 どんな顔をするだろう……? .
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

272人が本棚に入れています
本棚に追加