√3の事情

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  慌てて立ち上がり振り返る。 椅子の背もたれを跨ぎ、 そこに前傾姿勢で もたれるようにして 韮沢が座っていた。 そんなところで ずっと待ってたのか。 韮沢の表情は 幾分疲れているように見える。 そんなことが 判ってしまう程度には、 私達はまだどこか近しい存在らしい。 はたと見渡すと、 フロアには私と韮沢以外 誰もいない。 辛うじて廊下に 他の人の気配はするけど、 その話し声までは聞こえなかった。 ごくりと、息を呑む。 「……なあ、結婚て何」 「え……?」 .
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