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課長がすらすらと
弾んだ声で言ったとたん、
「ほおー」という声と
拍手をいただいて、
判ってはいたけど急に恥ずかしくなる。
──週末に済ませた
部長と課長への報告で、
相手が葵くんだということを
告げた時、でかしたと褒められた。
どうやらこのビルに入っている
会社の上の方の人達なら、
葵くんがただものではないことを
知っているらしい。
さすが情報化社会というのか、
感心してしまった。
「星野さん──
ではなくなったんでしたね。
改めて自己紹介、してもらえますか」
「は、はい」
課長に一歩前に
出るように促されて、
ぺこりと会釈してから進む。
もっと堂々としなくては
いけないことは判っているけど、
好意的なものでも
視線がちょっと痛い。
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