√3の事情

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  課長がすらすらと 弾んだ声で言ったとたん、 「ほおー」という声と 拍手をいただいて、 判ってはいたけど急に恥ずかしくなる。 ──週末に済ませた 部長と課長への報告で、 相手が葵くんだということを 告げた時、でかしたと褒められた。 どうやらこのビルに入っている 会社の上の方の人達なら、 葵くんがただものではないことを 知っているらしい。 さすが情報化社会というのか、 感心してしまった。 「星野さん── ではなくなったんでしたね。 改めて自己紹介、してもらえますか」 「は、はい」 課長に一歩前に 出るように促されて、 ぺこりと会釈してから進む。 もっと堂々としなくては いけないことは判っているけど、 好意的なものでも 視線がちょっと痛い。 .
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