√3の事情

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  突然の報告だったにもかかわらず、 同僚達の反応は いいものばかりだ。 そう思った瞬間 ふっと気が緩んで、 見渡してしまった。 誰もが笑顔と拍手を 祝福として贈ってくれる中── 韮沢だけが、 目を見開いて微動だにせず 立ち尽くしている。 その瞬間、 居たたまれなくて 思わず目をそらしてしまった。 ──あれ、おかしいな。 私、あの顔が見たくて 今のこの状況を 選んだんじゃなかったっけ……。 みんなの祝福が 意識を上滑りしていく。 なんとか笑顔を 張り付けるのに必死で、 自分のこの戸惑いに混乱した。 .
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