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会社勤めを始めてから
住んでいるマンションに着き、
どこで葵くんを見送れば
いいんだろうと考えていると、
彼の方が私の手を握ったまま
ずんずん足を進めていった。
いつも物静かで
控えめな印象しかなかった彼の、
意外な一面。
私はそれをいやだとは思わなかった。
葵くんの物言わぬ強引さは、
正直心地がいい。
だけど韮沢とのことがなかったら
知らなかったことには
違いないから、
それを思うととても複雑だ。
エレベーターに乗り込みながら、
葵くんに促されて
階数のボタンを自分で押した。
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