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葵くんが心配した通り、
韮沢がわざわざ
訪ねてきたことには驚いたけど。
それよりも、
葵くんが怒っている……
気がする。
「あ、あの、葵くん」
「大丈夫。
あなたのいるところで
もめる気はないですから」
「え」
それって、
私のいないところでなら
もめてもいいってこと?
こんな時だけ
変に頭の回る自分に、
思わず眩暈がしそうになる。
えっと、なんだっけ。
今日私は自分の部屋に
戻るなと、そういう……?
額を押さえ、
定まらない思考と共に
視線をうろうろさせていると、
葵くんが怪訝そうな顔で
覗き込んでくる。
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