恋は略奪品

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  近付いてくる韮沢の頬を、 かっとなって、ぱぁんと叩いた。 「近寄らないでよ、 手、出しちゃったじゃない!」 「……お前、 力いっぱいやったな。痛い。 でも、殴って気が済むなら殴れよ」 「営業マンの顔、 そうぱんぱん叩けるわけないでしょ」 それに背の高い韮沢に 何度もビンタしてたら、 私の手がもたない。 「韮沢、杵井華絵さんと 結婚するんでしょ! こんなとこ誰かに 見られたら終わりだよ! もうどっか行ってよ!」 「いやだね。 お前とは白黒はっきりつけなきゃ 気が済まない」 「しつこいのよ!」 「自分でも判ってるよ、 やかましい女だな」 「浮気されて捨てられて、 それでもニコニコできるような 菩薩はこの世にはいません!」 .
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