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声にしない願いが
届いたのか何なのか、
韮沢は昨日のように
しつこく話しかけてくることは
なかった。
──というか、
彼は彼で営業に駆り出されて
てんてこ舞いだったみたいで、
私どころではなかったんだろう、
というのが正しい。
今日忙しくなることが判っていたから
昨夜訪ねてきたのかな……
なんてぼんやり思ったけど。
今日は急遽決まった
お引っ越し作業があるし、
韮沢のことばかり
考えてもいられない。
心はまだまだざわつくけど、
気分を切り替えなくちゃ……と
思い直そうとしている自分に
少し驚いた。
韮沢に振られた日は
あんなに悔しくて悲しくて
泣いたのに。
……葵くんがいるからだ。
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