恋は略奪品

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  葵くんの家や会社が どうのという話じゃない。 外側のことをすべて取っ払っても、 他人にそんなことを 思わせるだけのものを、 葵くんは持っている。 頭はいいし、 性格もいいし心根は優しいし。 背、高いし。 ギャルソン服が とてもよく似合って、 かっこいいし。 丁寧に挙げ連ねてみると 葵くんってば、 相手がいなかったなんて 不思議なくらいの人だ。 それとも、 私がとてつもなく鈍いのか。 考えているうちに、 自分の頬がかーっと 熱くなってくるのが判った。 ……私、葵くんその人を気に入って あのお店に通ってたんだ。 それが“オンブル” チェーンだったのは、 偶然でしかない。 .
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