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そんな人と
結婚してしまったという
事実を改めて自意識の方から
突き付けられて、
なんか足ががくがくしてきた。
ちょっと待って。
おまけに好きだなんて
言ってくれるだと。
しかも、
今夜から本格的に
同じ家で寝起きをする……
だと。
「だめだ、私、
自意識と羞恥心に潰されて
死ぬかも知れない」
鼓動が強く胸を叩いてくるのに
耐えられなくて
思わず呟き落とした瞬間、
琥珀色の香りがふわりと漂う。
「なにが死ぬって?」
耳元にささやきかけられて、
思わずひゃあっと変な声が出た。
その場から飛び退くように
振り返ると、
軽く呼吸を乱した葵くんが
きょとんとして立っている。
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