恋は略奪品

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  「? すみれさん?」 「な、な、なんでもないの」 「……? ならいいですけど。 ごめんね、待たせたね」 うちの同僚達に 鉢合わせるのを避けるために (色々揶揄されるから面倒だった)、 “オンブル”のある2階ロビーで 私達は待ち合わせていた。 葵くんが遅れたのは ほんの5分ほどで、 彼はマネージャーとしての 締め作業があるし、 別に謝られるほどじゃない。 それでもすごくすまなさそうに 眉尻を下げるから、 私の腫れ上がった自意識が しゅんと小さくなる。 「時間ないから、急ごう。 そこでタクシーでも捕まえます」 .
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