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中からすみれの花の
タンブラーを取り出して、
暗がりの中
じっと眺めてから、
思わずそれを抱きしめていた。
──どうしよう、
葵くんの気持ちがすごく、
可愛い。
嬉しい。
「……別に、
あのまま暴走してくれても
よかったのに……な」
小さく呟き落とし、
胸の中があたたかな
切なさで満たされていくのが
判った。
さっきの涙の洪水は、
葵くんの言動に
驚いている間に
どこかへ行ってしまったみたいだ。
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