戸惑う本音

25/39
428人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
  「すみません、 韮沢はただいま外出中なんです」 「あ、そうなんですか……」 女の人は残念そうに うなだれた。 すごく綺麗な人だ。 なんかすごく いい匂いがしそうな 品をたたえながら、 「どうしよう……」なんて 呟いている。 「戻り次第 言づけておきますので、 お名前伺っても よろしいでしょうか」 にこりと微笑むと、 彼女はぱあっと明るい笑顔で 私を見た。 「杵井と申します。 杵井華絵が来たと 言っておいてもらえますか」 ──……これ、は。 「はい、杵井華絵様ですね。 承りました」 「お願いします!」 この程度のことは 当たり前なのに、 思わぬ人からの親切に喜ぶ── そんな感じで、 社長令嬢は帰って行った。 .
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!