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「すみません、
韮沢はただいま外出中なんです」
「あ、そうなんですか……」
女の人は残念そうに
うなだれた。
すごく綺麗な人だ。
なんかすごく
いい匂いがしそうな
品をたたえながら、
「どうしよう……」なんて
呟いている。
「戻り次第
言づけておきますので、
お名前伺っても
よろしいでしょうか」
にこりと微笑むと、
彼女はぱあっと明るい笑顔で
私を見た。
「杵井と申します。
杵井華絵が来たと
言っておいてもらえますか」
──……これ、は。
「はい、杵井華絵様ですね。
承りました」
「お願いします!」
この程度のことは
当たり前なのに、
思わぬ人からの親切に喜ぶ──
そんな感じで、
社長令嬢は帰って行った。
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