戸惑う本音

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  庶民は庶民なりの お手入れをしようと 化粧水を叩き込んでいると、 玄関で物音がした。 洗面所にかかっている 時計を見ると、 ゆっくりしていたせいか もう23時。 葵くんが帰ってきたんだな、 と思いつつ顔を整えて リビングを覗く。 するとそこに、 疲れた様子の 葵くんの背中があった。 「……おかえり、なさい」 おずおずと声をかけると、 葵くんは弾かれたように 顔を上げて振り返る。 「……あ、すみれさん。ただいま」 まだ起きてたんですか、 と溜め息混じりに言われた。 どこか突き放すような言い方に、 またあの気後れがやってくる。 .
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