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思わず逃げ帰ってきて
しまってから、
溜め息が出た。
帰るって言ったって、
ここは葵くんと
暮らす家だ。
別に約束はしていなかったけど、
一緒に帰るはずだった
葵くんから
逃げてきたところで、
彼はいずれここに帰ってくる。
自分の部屋に逃げ込んで
閉じこもったところで、
ごはんはまだだし
お風呂だってまだだ。
どう考えても、
今日また葵くんと
顔を合わせるのを
避けることはできない。
同じ家に暮らすということの
不具合を、初めて知った。
結婚って、
相手と向き合うことを
避けていたら──
うまくやってけない
ものなのかも知れない。
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