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「うん、好きだよ。
すみれさん」
「あの、ここ、道端で……」
「好きだ」
ワインのせいだと
思いたくなるくらいの
暴走を始める葵くんに、
全身が熱くなって、
かゆくなってくる。
「葵くん、
どうしてこんなとこで
そんな話するの」
「今言いたかったんだもん」
“だもん”って。
子どもか。
可愛いけど。
「早く帰ろう、私の方が死にそう」
「帰ったら、
死なないように
殺してあげようか」
「どうやって」
葵くんは私の手を握ると、
あっと言う間に
身を寄せてきて、
耳元でささやく。
「……もちろん、
ベッドの中で」
──今夜の彼は、
殺人詐欺師になるらしい。
-fin-
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