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薄れ行く意識の中、病院の天井を見つめながら私は思った。
あれは、私の中に巣くう“がん”という名の病魔からのメールだ。
今思えば、あの内容は脅しなんかではなく、私に警告してくれていたんだと思う。今ならまだ間に合う。だから早く自分を見付け切除しろ--と。
だが、気付いたところで全て手遅れだ。もはや私の全身は、アイツによって蝕まれている。私はこれから、アイツに殺される…………。
「あなたっ!」
「父さん!」
妻と息子の声が遠ざかり、視界が閉ざされる。
この後、私の携帯に送られて来るメールの内容など、心肺が停止した私には知る術も無い。
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