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#1 over
その日は、いつも通りの一日だったは
ずだ。
崩れ落ちそうになる階段を急いで登り
、平地になったところを全力で走り出
す。様子を見るため振り返ると、ニタ
ニタと不気味な笑みを顔に張り付けた
男が、相も変わらず俺を追いかけて来
ていた。
……男が右手を振るう度に、街路樹が
次々とバラバラになる。
「……ッ!!?」
街路樹の破片の一つにつまずき、顔か
ら地面に倒れこむ。そして、無防備な
俺の背後からゆっくりと近付いてくる
不快な笑い声。
……今日は、いつも通りの一日だった
はずだ。これまでの日常と何一つ変わ
らないただの平日。
そのなかで、何かが変わろうとしてい
た。
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